ベイルート(レバノン)-久しぶりだ。正確に言えば9か月ぶりだが、FIBAアジアカップ2025予選が戻ってきた。
この9か月間、各チームにさまざまな動きがあり、Window2に向けてどのチームがどのような状態にあるのかをチェックするには良いタイミングだろう。
今回のWindowでは、すでにアジアカップ本大会出場を確定させられるチームもいる(詳しくはここを確認)。Window1とは違い、より緊張感が高まっている。そして、来年2月のWindowではさらに激しさを増すはずだ。
というわけで、FIBAアジアカップ2025予選のSmartパワーランキング第3弾をお届けしよう。 ランキングは、前回のWindowでのパフォーマンス、大会システム、対戦相手の強さ、最近の大会結果などを総合的に考慮して作成している。 ランキングには常に動きがあるが、調整の試合で際立ったプレーを見せて勢いに乗るチームもあれば、新戦力の加入で期待ができるチームもある。それらすべてが今回のランキングに反映されている。
もし自分の応援するチームが過小評価されていると感じたら、SNSでコメントして声を上げて、次回のランキング更新時にまたチェックしてみてほしい。
では、最新のランキングを見てみよう。
#1 オーストラリア ⏸
以前のランキング: 1 変更: -
ニック・ケイが戻ってきた。オリンピックを経ても、ニック・ケイは常にブーマーズに戻ってくる。これが、オーストラリアがいつまでも揺るぎない存在であり続ける理由だ。 離脱していたセンター、ジョシュ・バナンも復帰し、1試合平均14.0得点、9.5リバウンド、2.5アシストという成績を残している。同様にデヤン・バシリェビッチもチームに合流している。ブーマーズが後退する兆しはほとんどなく、そのため彼らは引き続きトップの座に君臨している。
2試合のアウェーゲームは簡単ではないか、オーストラリアに分があるだろう。 ブームが戻ってきた。
#2 フィリピン ⬆️
以前のランキング: 3 変更: +1
フィリピン代表は、2月のWindowを「大陸カップ予選で最強の攻撃力を誇るチーム」として締めくくり、その後OQT(オリンピック最終予選)での活躍によってさらに勢いを増した。この勢いを維持するべく、Window1でプレーした12人全員がWindow2の候補メンバーに名を連ね、メンバー変更は新たに3人の選手が加わる可能性があるのみだ。
しかし、その新加入の選手たちもアンジェ・コアメ、AJ・エドゥ、メイソン・アモスといったプログラムに馴染みの深い面々だ。ギラス(フィリピン代表)がプログラムの方向性で着実に進歩しているという肯定的なムードが広がっており、今のやり方を貫くのは理にかなっている。それゆえに、彼らがランキングで一つ順位を上げるのも当然だと言えるだろう。
#3 日本 ⬇️
以前のランキング: 2 変更: -1
AKATSUKI JAPANは、2月のウィンドウで中国に「永遠にも思える期間」ぶりに勝利を収め、パリオリンピックで感動的なパフォーマンスを見せ、このWindowでモンゴルを迎えるホームゲームのチケットもすでに完売と、勢いに乗っている。そんな中で順位が1つ下がったように見えるのは、不公平に思えるかもしれない。
しかし、アジアで最も勢いのあるチームの一つとして、少しその勢いが落ち着くことを予想するのも賢明かもしれない。八村塁に続いて渡邊雄太がアジアカップ予選でデビューを果たすかと思いきや、今回のメンバー入りしておらず、Window1のチームと大きく変わらないまま、少し勢いが削がれたようにも感じられる。
それでも、このチームは依然として良い状態を維持している。もしかしたら素晴らしいとまではいかないかもしれないが、良い状態であることも時には十分だ。そして、完売したアリーナで満員の観客の前でプレーすることは変わりないので、問題ないだろう。
#4 レバノン ⏸
以前のランキング: 4 変更: -
#5 ニュージーランド ⏸
以前のランキング: 5 変更: -
ここは少し厳しい状況だ。両チームとも前回のウィンドウ以降で監督交代があり、これは小さな変化ではない。
トールブラックス(ニュージーランド)は、FIBA殿堂入りを果たしたPero Cameronに代わり、Judd Flavellがヘッドコーチとして指揮を執る。一方でレバノンは、Jadd El Hajjの後任としてMiodrag Perisicを起用した。
どちらのチームも注目のタレントを揃えた面白いロスターだ。ニュージーランドはキャプテンにCorey Websterを復帰させ、17歳のOscar Goodmanがトールブラックスでデビューする可能性がある。一方、レバノンは予選初出場となるOmari Spellmanをラインアップに加えている。
ここではレバノンにわずかに分があると見ている。ニュージーランドが初戦でマニラでフィリピンと対戦するという厳しいスケジュールを抱えているからだ。しかし、Window終了時に両チームが全勝していながら、全く異なる方向性に進んでいるのを見ても驚かないだろう。
それに、もし私たちの予想が間違っていたとしても、ニュージーランドを過小評価して間違った順位に置いてしまうのは、これが初めてではない。
#6 ヨルダン ⬆️
以前のランキング: 7 変更: +1
ヨルダンは派手な動きをしているわけではない。Wesam Al Sousが引き続き指揮を執っており、このWIndowでロスターに大きなサプライズがあるとも思えない。ただし、Dar Tuckerが復帰するのはいつだってワクワクする話だ。
それでも、彼らは母国で開催されたキングスカップでカタール、シリア、パレスチナといったチームを相手に試合を勝ち抜き、良い結果を残した。そのパレスチナとは、このウィンドウでも再び対戦することになる。また、1試合目にはイラクを相手にホームで戦う予定であり、これまで優位に立ってきた相手に対してその勢いを維持できるだろう。
派手さや目を見張るようなことはないかもしれないが、ヨルダンは着実に前進している。
#7 韓国 ⬇️
以前のランキング: 6 変更: -1
韓国代表はしっかりとしたチームになるだろう。今回のアジアカップ予選で最も注目を集めるニュースの一つは、「コリアン・クレイ」ことイ・ヒョンジュンが2021年以来初めて代表に復帰することだ。また、Lee JongHyunが2017年以来初めてFIBA大会でプレーする姿を見られるのも楽しみだ。さらに、1試合目の相手はインドネシアで、2連戦のホームゲーム初戦として勢いをつける絶好のチャンスとなるだろう。 しかし、Window1でEFF、得点、リバウンドすべてでチームを牽引したラ・グナ(帰化選手)を欠く穴を埋めるのは簡単ではない。同様に、イ・ジョンヒョンと ハ・ユンギも最終ロスターから外れている。そして、ウィンドウ後半の試合でオーストラリアと対戦することも、たとえホームでの試合であっても楽な展開にはならない。2月の試合で善戦したとはいえ、強敵との再戦は厳しいものになるだろう。 韓国の試合は見ていて面白いものになるだろうが、全勝で終えるのは簡単ではなさそうだ。
#8 中国 ⏸
以前のランキング: 8 変更: -
現時点では意見を保留し、中国がスマートパワーランキングでのポジションを維持する形とする。中国代表は、若い世代に活躍の場を譲るための移行期にあり、その過程で難しさが伴うことは避けられない。
それでも、Hu MingxuanやFan Zengboといった新星や、Yu JiahaoやYang Hansenといった有望なビッグマンがいる未来は明るいと言える。ただし、彼らがその注目に値することを証明し続ける必要があるだろう。今回のWindowは、2月に日本と対戦した時に比べれば比較的楽な展開になると思われるが、グアムのような火力のあるチームや、ホームで戦うモンゴルのようなチームを過小評価するべきではない。
#9 イラン ⏸
以前のランキング: 9 変更: -
イランは「眠れる巨人」の雰囲気を漂わせている。2月のWindowでカタールに辛勝したものの、あまり印象的な勝利ではなかった。しかし、勝ちは勝ちだ。Mohamed AminiやArsalan Kazemiといった才能ある選手を引き続き擁しており、スター選手の存在感は健在だ。現時点ではランキングのポジションを維持しているが、次回のスマートパワーランキングの更新では、少しのきっかけで順位を上げる可能性がある。 特に、今後控えるカザフスタン(ホーム)とカタール(ドーハ)との興味深い試合が注目される。アジアカップ2022ではイランがカザフスタンを96-60で圧倒したが、それ以前にはワールドカップ2023予選でステップ・ウルブズ(カザフスタン代表)がイラン代表(チーム・メッリ)を2連勝で下している。 もしイランが2試合でしっかりとしたパフォーマンスを見せることができれば、パワーランキングの端に留めておくのは難しくなるだろう。
#10 サウジアラビア ⬆️
以前のランキング: 12 変更: +2
パワーランキングの第2弾に戻ると、サウジアラビアについて次のような記述がある: 「…2019年以来初めて代表から離れたKhalid Abdel Gabarがいないことで失われたもの。彼が復帰してスター選手であるビッグマンのMohamed Alsuwailemと再びタッグを組めば、サウジアラビアはさらに強くなるだろう。」
そして今回、Abdel Gabarが復帰して再び活躍し、アジアカップ2022予選の8試合で平均16.0得点、5.9リバウンド、4.3アシストを記録した実力を示す良いチャンスとなるだろう。
さらに、アジアカップ2025の開催国に選ばれて初めての試合となる。今回のウィンドウでは、パレスチナとイラクとの連戦がホームで行われるため、スタジアムの雰囲気は大いに盛り上がることが予想される。
トップ10入りは、サウジアラビアにとって正しい評価だといえるだろう。
#11 カザフスタン ⏸
以前のランキング: 11 変更: -
この順位はちょうどパワーランキングの真ん中あたりで、カザフスタンに対する評価とほぼ一致している。 これまで無敗を維持しており、予想通りの形で勝利を重ねてきた。ただ、期待を超えるような際立ったパフォーマンスはあまり見られない――もし例外があるとすれば、Rustam Murzagaliyevの絶好調な3ポイントシュート(Window1で23本中11本成功)だろう。 19歳の Daniil Severginが、このチームに新たな刺激を与える存在になるかもしれないが、それについては今後のプレーを見守る必要がある。
#12 チャイニーズ・タイペイ ⬆️⬆️
以前のランキング: 17 変更: +5
「確実なこと」なんていうものは存在しない。特にアジアのバスケットボールではそうであることを私たちは知っている。それでも、もし確実なことがあるとすれば、それはチャイニーズ・タイペイがWindow1からさらに良くなるだろうということだ。
―フィリピンとニュージーランドとの試合を経験した後なのだから、そうならなければいけないいはずがない。
Windowを締めくくるニュージーランドとの試合がクライストチャーチで行われることを一旦脇に置いて考えれば、香港、中国相手に初勝利を目指してホームでプレーできることに注目したい。アジアカップ2022で活躍したベンソン・リンとレイ・チェンが健在だ。さらに、前回のアジアカップ予選でデビューを果たし、その後日本のBリーグでプレーしたアルバシールも復帰。そして、待望のマー・チェンハオのデビューも控えている。
少なくとも今回のWindowでは、チャイニーズ・タイペイに楽観的な期待が漂っている。それだけに、ランキングで5つ順位を上げるのはむしろ控えめな評価とすら感じられる。
#13 バーレーン ⬆️
以前のランキング: 14 変更: +1
新しいコーチがチームに加わった。そしてその監督はかなり優秀だ。アジアカップでチームを決勝に導いた実績があり、 Mustafa Rashedのようなスター得点源を擁するチームには心強い存在となるだろう。
ただし、Jad El Hajjコーチの初陣となるシリア戦は、試練になるだろう。
#14 タイ ⬆️
以前のランキング: 15 変更: +1
もしWindow1でEFFリーダーでありチームの2番目のスコアラーを欠き、さらに予選を通じて平均27.0得点を記録した選手も不在のチームが、パワーランキングで順位を1つ上げると聞いたら、我々も驚くだろう。
そう、タイはMoses Morgan(Window1で平均18.5得点、3P成功率35.7%)とTyler Lamb(平均27得点、4.7リバウンド、4.3アシスト)を欠いている。しかし、彼らは新たにタイ-ドイツ人選手のMartin Breunigをデビューさせる準備ができている。彼はドイツのバスケットボール・ブンデスリーガで素晴らしいシーズンを送っている選手だ。
ホームでの初戦でオーストラリアを相手にするのは依然としてアンダードッグの立場だが、2.03m(6フィート8インチ)のビッグマンがチームに加わることはチームにとって大きなアドバンテージとなる。特に、次の重要な試合でインドネシアと対戦する際にはそのアドバンテージが際立つだろう。
#15 グアム ⬇️
以前のランキング: 13 変更: -2
すべてのパワーランキングには「君のせいじゃない、俺のせいだ」的な動きがあるもので、これがそれかもしれない。グアムには申し訳ない。
グアムが決して悪いわけではない。彼らはWindow2に向けて非常に堅実なロスターを期待している、Tai Wesley (Window1で平均12.0得点、6.0リバウンド、3.5アシスト、2.5スティール)なしでもだ。中国と日本との試合は厳しいものになるだろう。それでも、これは仕方のないことだ。
#16 カタール ⬆️⬆️
以前のランキング: 20 変更: +4
これは一体どういうことだ? 1勝もしていないカタールがパワーランキングで4位も上がった? 説明しよう。
まず最初に、カタールはヨルダンでの調整のための試合で良い結果を出しており、シリアやパレスチナに勝利した。それが「4つも順位を上げる理由」とまでは言えないかもしれないが、良いスタートだと言える。
そして、Tyler Harrisをチームに加えることで、様々な可能性が見えてくる。今のところこのチームは勝利がないが、イランには2点差、カザフスタンには5点差で敗れていることを考えると、インド戦やホームでのイラン戦を控えている今、逆転のチャンスは十分にあるように見える。
#17 イラク ⬇️
以前のランキング: 16 変更: -1
Demario Mayfieldが戻ってきた。Window1では80分フルでプレーした彼がいつまでフルでプレーし、最終的にいつ交代するのかを追い続けることになるだろう。
#18 パレスチナ ⬆️
以前のランキング: 19 変更: +1
パレスチナにとってはサウジアラビアやヨルダンとの厳しいウィンドウとなるだろう。しかし、ヨルダンで開催されたキングスカップでシリアに勝利したことを考慮すると、彼らはいい形で準備ができているように伺える。
Jamal Mayali(Window1で平均20.5得点、7.5リバウンド、4.5アシスト、4.5スティール)は、代表チームでの出場機会とより大きな責任を負うことで、ますます良くなっていくはずだ。
#19 シリア ⬇️⬇️
以前のランキング: 10 変更: -9
ランキングの下降はどこかで止まるはずだ。シリアに対して少し厳しすぎるかもしれない。確かにアンマンで行われたキングスカップでカタール、パレスチナ、ヨルダンに敗れたのはそこまで悪かったわけはなく、ロスター全体を変えたわけではない。それでも、状況は良いとは言えない。マナマでのバーレーン戦や次のWindowでのレバノン戦も状況がいいわけではない。 それでも、パワーランキングを振り返ったときに、予想を覆すチームが出てくる可能性があるとすれば、それがシリアかもしれない。
#20 インド ⬇️
以前のランキング: 18 変更: -2
インドには有望な才能が揃っているが、まだ若いチームで経験が必要だ。カタールとカザフスタンをホームで迎える2試合で経験を積むことになるだろう。
その間、パワーランキングは少しいくつか順位を落として様子を見ることになるかもしれない。
#21 インドネシア ⬆️
以前のランキング: 22 変更: +1
グラヒタが復帰し、ジャワトも戻ってきた。プレオリンピック最終予選2024とBCLアジア2024で注目を集めたユダ・サプテラも戻り、アンソニー・ビーンJr.がデビューを迎える。
しかし、これが彼らの現状をどれだけ変えることができるだろうか?高陽市での韓国戦は厳しい戦いになるだろうし、サイズの大きいタイとの対戦では、Window1での13点差を埋めるのは難しいかもしれない。それでも、2月時点よりは良いチームになっているはずだ。
#22 モンゴル ⬇️
以前のランキング: 21 変更: -1
モンゴルのプレースタイルや個性のあるバスケットボールを見るのは楽しいだろう。「ブルーウルフ」というマスコットにそれが体現されており、スタイルにぴったりマッチしている。
しかし、新たな才能ある選手であるMargad Erdenetsetsegの登場をもってしても、今ウィンドウで日本と中国に立ち向かうのは厳しいだろう。
#23 アラブ首長国連邦(UAE)⏸
以前のランキング: 23 変更: -
#24 香港、中国 ⏸
以前のランキング: 24 変更: -
どんなパワーランキングにも厳しい現実がある。それは、常に最下位になるチームが存在することだ。全チームが理想的なプレーをしたとしても、誰かがその位置に甘んじなければならない。
今のところ、UAEはバーレーンに一定の手応えを見せた分だけ上位につけており、レバノンとの試合に臨む。一方、香港、中国は勢いのあるチャイニーズ・タイペイとフィリピンという2チームのアウェー戦を控えている。 明るい側面(?)があるとしたら、少なくとも香港、中国にとっては、今後は上昇するしかないということだ。
FIBA